増谷淳子が日常の体験から感じること

4.CA時代 仕事を楽しむスイッチが入った瞬間


■CA時代 私にもあった仕事を辞めようかと悩んだ時期

先日研修で伺った先で、受講者様から次のようなことを打ち明けられました。
仕事についた当初は仕事を覚えて上達し、成長していくことが楽しかった。今はその成長も止まり、マンネリ化してしまって楽しさを見いだせない。辞めようかな・・・」と。

実は私もCA時代、辞めようかと思った時期がありました。それは入社3年目を過ぎた頃のことです。何をやっても上手くいかず、空回りばかりで、仕事をするのがつらく、楽しく思うことはありませんでした。そんなときに大きなミスをしてしまったことで落ち込み、仕事が益々いやになっていきました。

■A先輩から気づかされた「仕事の原点」とは

憧れて、憧れて就いた仕事なのに、私には向いていないのかもしれない。辞めようかと悶々と悩んでいたときです。幸せいっぱいの笑顔で、ただの一瞬も休むことなく、本当に楽しそうにお客様と接しているA先輩の姿を見ているうちに、なぜ?と思ったのです。私はこんなにもつらく楽しくないのに、なぜAさんはこんなにイキイキと輝いて仕事ができているのだろう?私と何が違うのだろう?そんな疑問が湧いてきたのです。フライト後、私は躊躇することなくAさんに尋ねました。すると、Aさんから返ってきた答えは、私にとって大変衝撃的なものでした。

「増谷さん、この仕事は、ルーチンワークだけを行なうのなら、本当につまらない仕事になってしまう。でも、お客様や周りに喜ばれるために何ができるかと考えて、仕事を創造できれば、これほど楽しくやりがいのある仕事はないわ。私は一人一人のお客様を喜ばせたい。お客様と少しでも多くかかわって、お客様の笑顔をたくさん引き出すことが楽しいから、じっとしていないだけ。お客様の心からの笑顔を見ることは、私の最大の喜びで、それが私の大きな幸せ。人を幸せにすることが仕事の原点よ」と、Aさんは目を輝かせて話してくださいました。

■仕事のルーチン化から創意工夫へ

この言葉は私にとって目から鱗でした。なぜなら、まさしくそのときの私の仕事の仕方は、ルーチン化そのものだったからです。2~3年もたつと、要領よくする方法がわかってきます。努力や意識をしなくても、体が覚えていて動くものです。当時の私は、要領よく、自分がやりやすいスタイルでサービスを行っていたのです。当然、お客様からは見透かされていたことでしょう。その当時のお客様には、本当に申し訳ないことをしたと、深く深く反省しています。

Aさんのように、「こちらのお客様は何を望んでいらっしゃるのかしら?」「お客様が飛行機に乗っている時間、快適に、幸せな気持ちにして差し上げたい!」という視点で考えると、創意工夫がどんどん湧きあがってきます。
しかし、その工夫がなくなった瞬間、仕事は単純化し、日々同じことを繰り返します。仕事に工夫やプラスαがないから、周りから感謝されません。ますます心のこもらない仕事をすることで、面白くなく、嫌になるというマイナスのスパイラルに陥っていきます。この時期の私はまさしくこのスパイラルだったのです。

■私の仕事を楽しむ「心のスイッチ」が入った瞬間

「人を幸せにすることが仕事の原点」「周りの喜びを自分の喜びに重ねることで、自分も楽しく幸せになれる」ということに気づいたとき、私の心のスイッチが「パチッ!」と入った瞬間でした。
ここから仕事がどんどん楽しくなりました。お客様からいただく「ありがとう!」の言葉が、次の「ありがとう!」を生み出す私のパワーとなり、気づいたら「増谷さん、いつも楽しそうに輝いているわね!」と言われるようになっていったのです。
Aさんの言葉がきっかけで私の心に宿った、「相手の喜びを自分の喜び、幸せに重ねる」という価値観をこれからも大切にしていきたいと、この受講者様にもお話しいたしました。

■目に見えないものは心の目で見つめていく

新しく始まった「令和」の時代。
「感謝」「思いやり」「やさしさ」等、大切なものは目に見えません。だからこそ心を豊かにして、心の目でそれらを見つめていかなければと改めて心に誓いました。


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