増谷淳子が日常の体験から感じること

5.出張先ホテルでの対応から思うこと


■出張先のホテルで真っ先にお願いすること

私の仕事は全国各地からご依頼をいただくため、出張の機会が多い業種といえます。特に装いがスカートではなくパンツスーツで出張した際、宿泊先に到着すると私が真っ先にお願いすることがあります。それはズボンプレッサーの貸し出しです。講師の身だしなみとして、事前にパンツのプレスはしっかりしておきますが、移動時の立ち座りでできるシワはとても気になります。そこで私の味方として活躍してくれるのが、このズボンプレッサーなのです。

■比較対象があると、対応の差が明確になる

各地のホテルで同じようにズボンプレッサーの貸し出しのお願いをすると、フロントスタッフによって対応やその心づかいが異なることに気づかされます。ひとつのホテル、一人のスタッフでは判断しにくいことも、比較対象があると、その違いをより感じやすくなります。

「ズボンプレッサーをお借りできますか」と、お願いすると、次のような対応が返ってきます。

  • あるホテルのフロントスタッフは、「お部屋にアイロンがございますよ」と対応
  • 他のホテルのスタッフは、「はい、かしこまりました。すぐにお持ちいたします」と笑顔で対応
  • また違うホテルのスタッフは、「はい、かしこまりました。増谷様、すぐにお部屋にお持ちしてもよろしいでしょうか」としっかりと目を合わせて笑顔で対応

以下、私の価値観による感じ方です。

1つ目の対応では、お客様がズボンプレッサーを希望していることに対して、もっと寄り添ってほしいと感じます。もしズボンプレッサーがないのであれば、お詫びとその説明を添えていただければ、「わかりました。ご丁寧にありがとうございます」と、気持ちよく納得できると思うのです。期待に応えることができないとき、どのように誠意の感じられる言葉を添えられるかによって、相手の感じ方は大きく変わることでしょう。

2つ目の対応は、お客様の希望に迅速に応えてくださり、期待通りの対応です。

3つ目の対応では、希望に応えてくださると同時に、名前を呼びかけてこちらの都合を聞いていただけたことに好感が持てます。お客様がこれからお出かけなら、ご都合のよい時間にお持ちししようとするスタッフの心づかいが、言葉やボディランゲージから感じられて好印象です。

私としては2つ目の対応で何ら問題はなかったのですが、よりお客様目線に立った対応を体験すると、前者はやや物足りなく思ってしまいます。これ以降、3つ目の対応レベルが私の期待値になっています。

■ お客様の期待値も上る。現状維持ではレベルダウンと心得たい

このようにお客様の期待値も日々上っているのが現状です。すべての仕事において、現状維持ではすでにレベルダウンといえます。昨日より今日、今日より明日、貢献できるとともに自身も成長したいものです。

お客様との対応では、うわべだけのサービスや言葉かけではなく、心のこもったおもてなしとして何ができるのかを考えて、実践していくことが何より大切ですね。


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