増谷淳子が日常の体験から感じること

8.女性の時代。環境の変化のなかで、女性の感性やビジネスセンス、創造性のある仕事が期待される


■女性の戦力化が求められる社会背景

ここ数年、女性の戦力化と言われています。セミナーや研修でのご要望も、「女性リーダー研修」や「女性がイキイキ働くための仕事力向上研修」など、女性に特化したテーマが増えています。

実際、女性の戦力化は推進されているのか参加者の方々に伺うと、企業によっても様々なようです。女性管理職や女性役員が誕生したというお声もあるものの、まだまだ旧態依然として男性中心である、会議にすら入れてもらえない、女性管理職ゼロという職場もあります。

いずれにしても、日本は少子化(2019年の出生率は90万人割れがほぼ確実)、2025年問題も控えて超高齢化社会に伴う労働力不足という危機的状況に直面しています。この労働力不足をどう乗り切るかは、企業の重要な課題です。生産性向上はもちろんのこと、女性の活用、高齢者や外国人の雇用、短時間勤務者にも権限を与えるなど、人材の多様化とともにAIやロボットに頼ることになります。

また、経済がサービス産業化(日本の産業の約80%がサービス産業)するなかで、女性の感性は製品開発や業務において、イノベーションを生み出す可能性があります。これまで女性が家庭の中で行っていた仕事が、どんどんビジネス化されています。介護や支援サービス、託児所、家事代行サービス、宅食サービスなどは女性の感性に負ったサービス・商品といえます。これからは生活に根差した情報が必要とされるため、女性の視点で考えたほうがよいのはいうまでもありません。女性ならではの新しい発想を活かして、企業は商品開発や市場創造を推進していくことは必須です。

■生活密着型には女性の感性が求められる

水がトルネード式に流れるトイレの便器が大ヒットしました。この商品は女性社員のアイデアから生まれたそうです。掃除のときの困りごとを社員にアンケートを取り、「裏のくぼみの部分が洗いにくい」という女性社員の意見をヒントに商品開発に至りました。やはり女性は男性より消費者目線で考えるのが得意だといえます。

女性下着の通販会社では、女性社員が着たいと思うその感性を生かし、商品化して成功を収めています。まさしく生活密着型の商品・サービスでは女性の感性が必須です。

■女性市場が拡大、購買決定権が女性にシフト

女性の経済力が高まり、購買決定権が女性にシフトしてきている昨今、女性志向を理解できないとモノが売れません。今後、女性目線でのマーケティングは益々重要になります。実際、女性管理職が多い会社は、株価も上がり成長する傾向にあります。

また、女性の社会進出により女性の購買力が増加し、女性市場が拡大しています。世の中の消費の8割は女性。これは裏を返せば、男性用品であってもそれを選択、購入しているのは女性だということです。さらに生活用品だけでなく、住宅や車に至る高額商品の購買決定にも、女性が半数以上関わっているという調査結果も出ています。女性ビジネスセンスを活かした経営は、今後の企業の業績を大きく左右するでしょう。

■今後は創造性のある仕事への取り組みが期待される

こうした社会環境や市場の変化によって、女性の戦力化、産業構造のサービス産業化、モノづくりが海外に出ていったことで、必然的に女性が活躍する土壌が整ってきました。その一方でAI、RPA、IOPといった技術革新が起こっています。IT、AI、ロボットにできる仕事はこれらに任せ、今後、私たちはより創造性があり、感性に関わる仕事、改善活動や気配り、交渉力などを発揮していくことが期待されます。

自身のキャリアを見つめて、組織の期待に応え、必要とされる存在になれるよう取り組んでいきましょう。


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