新入社員や若手社員を「気がきく社員」に育てるためのエッセンス

2.気がきかない社員を気がきくように教育できるのか


気がきかない社員を気がきくように「教育」するには、本質的なところから教えることが大切です。そして気をきかせることの目的と行動について、詳細に教えるだけでなく、考えさせることで気がきく社員に育てることができます。

■学生は「与えてもらう人生」、社会人は「与える人生」という考え方を教える

学生のうちは、食事・住まい・教育など様々なことを、与えてもらっています。しかし、社会人になると会社から給料をもらうということは、仕事という成果を与えなければなりません。この意識改革をできるかどうかで、気がきく社員になるかなどその後の成長に大きく差が出ます。最初にしっかりと、学生は「与えてもらう人生」であったが、社会人は「与える人生」ということを教え込むことが大切です。

■気をきかせることができれば、自分の幸せな人生につながっている!

気がきく社員を育成する際に、まず相手にメリットを伝えるようにします。気をきかせることで、どれだけ自分にプラスになるかということに気づかせます。

気がきく人は、周りから感謝されて可愛がられます。また、上司や先輩等、多くの人からサポートを受けやすくなります。新入社員ならなおのこと、周りから好意的に関わってもらえることで、成長が加速します。

反対に気がきかない人は、相手をイライラさせたり不愉快な思いをさせてしまいます。多くの場合は気づいておらず、本人に悪気もありません。そのため知らず知らずのうちに周りからのサポートは受けにくくなっていきます。

気をきかせると、相手に喜んでもらえて自分もハッピーになるのです。気がきく行動や仕事は、「自分の幸せな人生につながっている」ということに気づいてもらうことが重要です。

■テクニック(手段)だけ教えると応用できない人材になる!

実は「気がきく」行動や仕事は、教えれば誰にでもすぐにできます。

たとえば、

  • 雨の日にはお客様用の白いタオルを用意する
  • 指示に対する仕事の仕上がり予定時間を伝える
  • 仕事が終了するめどがついた時点で中間報告をする
  • 訪問先で出されたお茶は辞去の際には下座に寄せておく
  • 書類をホッチキスで留めるときの位置は、縦ではなく斜めの位置で留める

等です。

ただし、これらをテクニック(手段)で捉えると、考えずにどんな場面でも同じように行うため、応用がききません。気がきく行動は、何のために行うのか、その「目的」を理解することが大切です。

たとえば初めて来訪のお客様から、地図の送付依頼があったとします。このとき、「地図を送る」ことを目的とすると、手離れよく手元にあるものを送るでしょう。しかし、「お客様に安心して来訪いただくためのお役立ち」を目的にすると、東西南北で説明するのではなく、進行方向から見て左右で説明したり、目印になる建物の写真を挿入したり、一言メッセージを添える等、相手の立場に立つことで行動が変わってきます。

■「ハッピーゴール」を設定すると相手から感謝される!

そこで、私が推奨しているのが「ハッピーゴール」を設定して取り組む方法です。相手の喜びを自分の喜びに変える発想で、最初に相手に合わせたゴール設定をすることから始めます。仕事を仕事として取り組むと、そこには気をきかせるプラスαは生まれません。

しかし、人を特定すると、「このお客様(上司)(先輩)に喜ばれるために、何ができるか」「この仕事ができたときに、相手にどのように言われたいのか(喜ばれたいのか)」と、相手の喜ぶ顔をイメージして仕事に取り組めます。ゴールが明確になると、ゴールに向けての創意工夫や想いが生まれ、ゴールイメージから逆算することでやるべきことが見えてきます。

このハッピーゴールの取り組みでは、もう一つ忘れてはいけないことがあります。

それは、相手や周りに関心を向けて、よく観察することです。相手によって基準も違い、求めることも違います。だからこそ相手に関心を持ち、相手をよく知らなければ、気がきく行動や仕事はできないのです。

上司や先輩社員の方は、部下や後輩にハッピーゴールを設定した取り組みを、まずは1日1回でも2回でも実践するように教えてあげてください。そうすることで、部下や後輩は、気がきく成功体験を積み重ねることができます。周りから感謝やねぎらいの言葉が増えることで、仕事も人生も楽しく豊かに、ハッピーになることに気づき、気がきく社員に変わっていきます。


>>新入社員研修プログラムはこちら