新入社員や若手社員を「気がきく社員」に育てるためのエッセンス

8.気がきく電話応対では何を教えるべきか


電話応対は「売上に直結する」といっても過言ではありません。
企業の「第一印象・イメージ」が1本の電話で決まり、それが企業の売上・利益にまで結びつくものです。ですから、電話応対の重要性は入社時にしっかり意識づけしておくことが大切です。

■電話応対時の心構えを教える

電話では相手の姿は見えませんが、笑顔、姿勢や態度は声の感じや話し方に表れて相手に伝わります。目の前にお客様がいると思って、姿勢を正して明るく応対します。

具体的には、受話器を取る前には、「ニコッ」と笑顔をつくります。声のトーンは女性であれば「ドレミファソ…」の音階の「ソ」音で発声すると明るく聞こえます。滑舌をよくするためにも、口の開閉をしっかり行い、口角を上げて話します。これらを習得するためには、見本となる応対例を録音しておき、それをマネることから始めると上達が速くなります。自身の応対も録音して、客観的に聞いた後、自分と指導者からのフィードバックも受けて、トレーニングを重ねるようにしましょう

■お客様との人間関係をよくする電話の受け方を教える

お客様が名乗られたら、「〇〇様、いつも大変お世話になりまして、ありがとうございます」と、相手の名前を呼んで挨拶をします。また、知っているお客様の場合は、自分宛ての電話でなくても挨拶をして名乗ると、そこからちょっとしたコミュニケーションが図れます。「〇〇様、こんにちは。Aでございます。ご無沙汰しておりますが、お変わりございませんか」などです。

お客様との関係づくりを深めるためには、こうした一言を積極的に活用することを教えておきましょう。「〇〇様、昨日はBがご無理を申しまして、申し訳ございませんでした。〇〇様のお陰でよいものができたと、Bも喜んでおりました。どうもありがとうございました」等と、既にお礼を申し上げていたとしても、再度お礼を述べることで、相手との人間関係がよくなります。

■お客様の名前を添えて特別な応対をすることを教える

お客様の担当者がいる場合は、「〇〇様、いつも私どものBがお世話になりまして、ありがとうございます」と、担当者の代わりにお礼を述べます。定型的なご挨拶ではなく、特別な存在として意識している気持ちが伝わります。これによって、日頃の感謝の気持ちが相手に届きやすくなります。

ほんの少しのことですが、こうした応対の積み重ねが、お客様との人間関係、信頼関係のパイプを太くし、売上・利益につながることに気づかせておきましょう。

■指名された人が不在時こそ気配り応対ができるようにする

不在時応対の「お詫び+帰社時間のご連絡」の後、「いかがいたしましょうか」と、お客様の意向をお聞きする応対は、お役立ち精神やお客様第一の姿勢ではありません

お客様が安心して用件を話せるように、承る人は名前だけでなく、所属箇所や立場も伝えます。「〇〇様、私、✕✕課の(Bのアシスタント)のAと申します。私でよろしければ、代わりに承りましてBに申し伝えましょうか」

お客様が直接本人と話したい様子なら、次のように応対します。「すぐにBに連絡します。連絡が取れ次第、直接Bから〇〇様にご連絡をさせていただきましょうか」「すぐに連絡が取れない場合は、私から再度、状況をご連絡いたします」「お差し支えなければ、ご用件をお伺いしてもよろしいでしょうか」と、さりげなく用件をお聞きしておくことも仕事のうちです。

どのような場合でも「お客様の負担を軽くする」という発想が大切です。お客様の心の声や気持ちを察して、こちらから気配りを言葉で表現することを教えておきます。

■「さすが」と言われるワンランク上の電話応対を教える

指名した人が不在で、お客様が電話をしてほしいとおっしゃった場合は、データベース化した顧客リストで連絡先を調べたうえで、「ご連絡先は、〇〇番でよろしいでしょうか」とこちらから電話番号を確認します。

お客様も出先で、再度ご自身から電話をするとおっしゃった場合は、「お手数をおかけいたしますが、よろしくお願いいたします」と申し上げるだけでは不十分です。「かしこまりました。〇〇様からお電話をいただける旨、Bに申し伝えます」と伝えます。

伝言を受けた場合は、すぐにその内容を本人に連絡します。電話で伝えた後も、伝言メモは本人のデスクに置いておきます。電話を受けた人の仕事は、ここまでと思われがちですが、そうではありません。本人が帰社後、伝言内容の対処について失念がないか、さりげなくフォローをすることまでが電話応対者の責任範囲であることを教えてください。

■客観的に自分の応対を見ると電話応対の問題に自ら気づく

「電話応対の素晴らしいAさんはどんな人か、一度会ってみたい」とお客様から言われるような気がきく応対上手な社員に育てたいものです。できることなら実際の電話応対を録音して、定期的にチームで確認しましょう。顧客視点に立った応対ができているか、心がこもっているか、客観的に振り返りフィードバックシートし合うことで成長を促してください。


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