新入社員や若手社員を「気がきく社員」に育てるためのエッセンス
1.なぜ気がきかない社員が増えてきているのか

■気がきかない社員に困っていませんか?

皆さんの周りに気がきかない社員が増えてきていませんか。
先日訪問した先で、上司の方からお聞きしたお話です。部下の同行での外出時に、提案のための資料やサンプル商品などの荷物をたくさん持っていても「私がお持ちしましょうか?」と声をかけてくることはありません。「これ持って」といえば、「はい!」と元気よく返事をし、持ってくれるようです。

 言われたことはするものの、言われていないことはできない、気づかない人が増えているのです。上司の立場からすると、「ここまで指示しなくても、わかるだろう。一歩先を読んで気をきかせて動いてくれ」「空気を読んでくれ」と言いたいところです。

■若手社員の育ってきた環境を理解していますか?

しかし、若手社員は、気をきかせる必要のない環境のなかで育っているということを、世代の違う側としては理解しておきたいものです。彼らの気がきかない背景を知ったうえで、気がきかないのは当たり前という前提に立ち、一つひとつ丁寧に教えていくことが大切です。

現在の若手社員がなぜ気がきかなくなってきているかというと、大きく二つの環境要素があります。
①学校のサービス産業化
②文明や科学技術の発展

まず、学校のサービス産業化によって、学校は学生をお客様扱いしています。これが学生を甘やかして育てる環境になっています。具体的には、学生が学校を休むと先生が資料を配ってくれます。登校時には先生が校門に立って、先に挨拶や声かけをしています。学生にとっては、してもらうことに慣れてそれが当たり前になっているようです。

授業では、板書内容をノートに書き写し、ラインマーカーで線を引いて、自分なりに工夫をして勉強をしていましたが、スマホが普及してからは板書内容の写真を撮って済ませているようです。したがって、文字を書く習慣や自分で工夫して勉強したことがなく、仕事においてはメモを取るように言っても、何をメモしていいかすらわからない人もいます。

また、参考書のための参考書があり、テストの対策本も市販で売られています。すべ
て必要なものは周りに揃っています。親も学校の送迎等、色々と気をつかってくれます。

今の若手社員は、周りから気をつかってもらうことはあっても、自ら気をつかうことはほとんどありません。自分で考えることをしない、創意工夫がない環境で育っているという背景を受けとめて、彼らと接していくことが大切でしょう。

さらに、文明や科学技術の発展により、何でも自動化されています。何も考えなくても、スイッチ一つ押すだけで、日常生活が豊かに暮らせるようになったところにも、気がきかない要因が潜んでいると思われます。

リビングにTVが1台しかなかった時代は、兄弟でチャンネルの譲り合いをしながら自分の見たい番組を見る等、配慮や気をきかせる行為が家庭のなかにもありました。ところが、今ではTVはスマホで見ることができて、電話もTVも一人一台の時代です。誰かと共有して、1つのものを譲ったり譲られたりすることがないため、他者に気をつかったり、相手の立場に立つという視点が育っていません。

気をきかせるための視点は、多くの人とコミュニケーションを十分に取る中で生まれるものです。ところが、今の世代は人との関わりより、ネットと関わる時間の方がはるかに多いです。わからないことがあれば、上司に聞いたり、図書館で調べたりしていましたが、若手社員は、すぐにネットで検索して答えや情報を得ます。

社会人になるまでは、自分で考える、本を読む、相談する等をしなくても、ネットに「キーワード」さえ入力すれば簡単にほしい情報が得られてきたのです。このような生活環境の中で、だんだんと気がきかない、創意工夫をしない人が増えてきているのでしょう。

■会社・上司はどのように接するべきなのか?

上司が家庭や学校で教わってきたことを、会社で一から教育しなければならなくなっているのです。ただ、悪いところばかりではありません。とても素直なので、教えればできるようになるのです。
まずは、育った環境や世代が違うため、気がきかないのは当たり前だと考えてください。その上で新入社員や若手社員と向き合うと、接し方が変わります。